
導入事例 #25
| 名前 | 茨木克也様 |
| 経歴 | トレーニングジム・スタジオ・教育機関・企業等での運動指導・セミナー、個別姿勢改善プログラム指導、開業支援・研修 |
| 資格 | 健康運動指導士 自立支援介護パワーリハ研究会上級指導員 姿勢教育アドバイザー |
姿勢分析ツール「ゆがみーる」との出会い
「ゆがみーる」との歩みとこれから
目次
はじめに

「僕は治さないんです。痛くならない、負担がかからないように手伝う。でも動かすのは本人の脳と筋肉」——茨木氏
全国で運動指導に携わってきた健康運動指導士・茨木克也氏の言葉は、一貫しています。
目的は“通わせること”ではなく、本人が自分の身体を理解し、日常で動かせる状態をつくること。その支えとして、茨木氏が20年前から使い続けてきたのが、姿勢分析ツール「ゆがみーる」でした。
京都にある靴とインソールの製造販売店「フットクリエイト」の2階で8年前から行われてきた姿勢改善プログラムも、そして今回フットクリエイトが迎える事業承継の節目も、その活動の中の取り組みでした——。
長年の活動の延長線上にある、「ゆがみーる」を軸にした“つながり”を紹介します。
1.原点——「見える化」への挑戦
2006年以前、まだ「ゆがみーる」がプロトタイプだった頃
茨木氏が初めて「ゆがみーる」の前身となるシステムに触れたのは、2006年以前のことでした。
当時の表示は、シンプル。今のようにタブレットによるAI自動測定と筋バランス評価は存在しません。それでも、このツールに「革命」を見ていました。
「ゆがみーるを活用する以前の姿勢の説明は、
すべて言葉と身振り手振りだったんです。
『肩が下がっていますね』『骨盤が傾いています』
——でも、言葉だけじゃ伝わらない。
本人が納得しないと、行動は変わらない」
「客観指標」。それが茨木氏の求めていたものだった。
自分の身体の状態を、数字や角度で見る。他人ではなく、過去の自分と比較する。そのとき初めて、人は「自分ごと」として受け止められる。しかし茨木氏にとって、「測定」はゴールではなかった。
測定を「行動」に変換する
茨木氏が独自に編み出したのは、測定結果を「その人の行動」に変換する方法論です。
①測定結果から「どの運動・ストレッチが必要か」を絞り込む。
∟100種類の運動を教えるのではなく、その人に必要な3つだけを明確に示す。
②変化を「比較」で見せる。
∟例えば、「1ヶ月前と比べて、ここが改善しました」と伝える。その瞬間、相手の目が変わる。
③その日の「体感」をきっかけに、生活の中での継続へつなげる。
このように、可視化と個別最適指導をセットにすることで、運動が〝続く理由〟になりやすくなるといいます。
2.全国展開——「健康経営」の先駆け

1987〜2007年、フィットネスクラブから企業へ
茨木氏の活動は、大阪、京都のフィットネスクラブを皮切りに、全国へと広がっていきました。三菱電機(BRIO)をはじめとする大企業の健康イベント、地方の中小企業の福利厚生プログラム、教育機関での姿勢改善セミナーなど多岐にわたります。
行く先々で、同じ手応えがありました。
「姿勢測定があると、話が前に進むんです。
数字を見た瞬間、皆さんの表情が変わる。
『自分ごと』になるんですね」
これは今でいう「健康経営」の文脈そのもの。しかし当時、その言葉はまだ一般的ではありませんでした。茨木氏は時代の10年以上先を走っていました。
壁——「私はどうすればいい?」という声が殺到
企業や自治体から呼ばれることが増える一方、限界も体験しました。100人を測定し、全体に向けて説明。その結果会場は盛り上がる。——しかし翌日、問い合わせが殺到しました。
「それで、私はどうすればいいんですか?」
全体説明はできても、一人ひとりの指導の最適化ができない。人数が増えるほど、その矛盾は大きくなった。この経験が、茨木氏の結論を決定づけました。
「結局、成果が出るのは〝個別指導〟なんです。
身体は、全員違うから」
測定は「入口」、指導は「個別」で完結。徐々に茨木氏の活動の中心は、グループ指導から個別指導へとシフトしていきました。
3.800人の証明——「データ」と「再現性」へのこだわり
2008〜2013年、新大阪健診クリニック
茨木氏は新たな挑戦に乗り出しました。新大阪健診クリニックで「ゆがみーる」をオプション健診に組み込み、体組成測定と併せて姿勢測定を実施。「姿勢測定+個別運動指導」の仕組みを構築しました。
蓄積した測定データは、約800人分。
さらにこの数字は、単なる実績ではなく、茨木氏が最もこだわった「再現性」の証明でした。
「同じ品質で測り続ける」という執念
「測定は、誰がやっても同じじゃないんです」
当時のゆがみーるのバンドはランドマークに合わせて調整する必要があり、運用がバラけてデータに差異がでないように、測定者を自分と数名の上級トレーナに限定しました。(※)
(※)2008年リリースのゆがみーるスタンダード版、2012年のゆがみーるLITE版では、まだAIによるマーカ自動認識機能は無く、独自開発したマット及びマーカベルトを用い、手動デジタイズ手法を用いて、ランドマークから姿勢測定していました。
【参考】中京大学体育研究所紀要Vol.37 2023 鈴木 雄貴他、身体的特徴点の空間座標収集における手動デジタイズ手法とAI手法の比較
「同じ品質で測り続けられるかどうか。
この地道な積み重ねが、現場導入の成否を分けるんです」
この経験をもとにしたデータは後に、日本糖尿病情報学会の論文誌に研究成果として発表されました。「ゆがみーる」の見える化メソッドと茨木氏の測定管理が学術的にも認められた瞬間でした。
<ゆがみーるとともに歩んだ、茨木克也氏の実践年表>
プロトタイプから始まった姿勢の「見える化」は、 健診、企業、フィットネス、そしてフットクリエイトへと広がっていきました。
2006年以前|プロトタイプ期
- AI姿勢分析「ゆがみーる」の前身となるプロトタイプを使用開始
- 姿勢の歪みを“数値と角度”で示す試みに、健康運動指導の現場でいち早く着手
2006〜2008年|フィットネスクラブ・企業イベントでの活用
- 京都・長岡京のフィットネスクラブを皮切りに導入
- 三菱電機(BRIO)をはじめ、全国各地の企業イベントで姿勢測定と運動指導を実施
- 「測定 → 個別に必要な運動を示す」パーソナル化の重要性を確信
2010年|健診クリニックでの本格運用
- 新大阪健診クリニックにて、健康診断項目の一部として姿勢測定を導入
- 約800名分の測定データを、測定者を限定した体制で取得
- 日本糖尿病情報学会の論文誌に研究成果を投稿
2011〜現在|企業健診・教育分野へ拡張
- 企業健診でのオプション測定、セミナー+個別指導の運用を確立
- 専門学校や教育機関で「姿勢・歪み」をテーマにしたセミナーを実施
- 測定プロトコルと指導内容の標準化・マニュアル化を推進
2017年以降|フットクリエイトとの連携へ

- フットクリエイト2階にて、姿勢改善・歩行指導プログラムを実施
- 靴・インソールと運動指導をつなぐ「継続型の身体サポート」を実践
- 事業継承を見据えた体制づくりにも関与
4.「痛みの原因は“結果”に出る」——歩行指導の思想と“体感”の設計
「来てもらうのが目的じゃない。
トレーニングしてもらうのが目的なんです。」
茨木氏の指導は、痛い部位を直接どうにかする発想とは異なります。たとえば膝痛は「膝が悪い」のではなく、他の筋肉が使えていない結果、負担が膝に集中しているという捉え方。
だからこそ、股関節・骨盤・足首・肩甲骨など、周辺の“眠っている筋肉”を起こし、負担を分散させることを重視します。
このとき「ゆがみーる」は、状態の説明を助けるだけでなく、本人の理解を促すツールになります。そして茨木氏が必ず設計するのが、初回トレーニング後の「体感」です。
- 骨盤の位置や軸のポジションを少し変える
- 階段や歩行で「いつもと違う」を感じてもらう
- その感覚が消える前に、本人ができるセルフトレーニングを渡す
効果は「2〜3日」続くことが多い。でも、そこで何もしなければ戻る。だからこそ、体感を“継続のきっかけ”にする——この設計思想が、茨木氏の活動の核です。
5.新生フットクリエイト——父から息子へ、受け継がれる挑戦

〜京都、靴とインソールの老舗での8年間〜
京都にある靴とインソールの製造販売店「フットクリエイト」。創業30年を迎える老舗の2階で、茨木克也は8年前に姿勢改善プログラムをスタートしました。
なぜ、靴屋と健康運動指導士が手を組んだのでしょうか。
「靴やインソールの購入は、数年に一度。
でも身体づくりの支援は、継続性がある。
足圧や姿勢の可視化と、運動指導を組み合わせれば、
測定だけで終わらない、〝続けられる関係〟が生まれるんです」
茨木氏の得意領域と、フットクリエイトの理念が見事に重なり、会員の継続に寄与しました。そしてこの出会いは、やがて思いもよらない展開へとつながっていくことになります。
〜柔道整復師・茨木遼氏——父の背中を見て育った治療家〜

茨木克也氏には、二人の息子がいます。次男の茨木遼氏は柔道整復師の国家資格を持つ、身体のプロフェッショナルです。
幼い頃から、父が全国を駆け回り、一人ひとりの身体と向き合う姿を見てきました。「測定」を「行動変化」に変える——その哲学は、知らず知らずのうちに遼氏の中にも根付いていました。
「父は〝治す〟とは言わない。
でも僕は柔道整復師として、〝治す〟技術を持っている。
父の〝続ける〟と、僕の〝治す〟。
この二つが合わされば、もっと多くの人を救えるんじゃないか」
茨木遼氏は、静かにそう語ります。
事業承継——「新生フットクリエイト」の誕生

そして今、フットクリエイトは大きな節目を迎えています。30年の歴史を次世代へつなぐ、事業承継のタイミング。新社長に就任するのは、茨木遼氏です。
父・克也氏が20年かけて築いた「測定を行動に変える」メソッド。
息子・遼氏が持つ柔道整復師としての「治す」技術。
そしてフットクリエイトが30年培ってきた「足から身体の健康を支える」理念——。
三つの強みが、今一つになります。
「これは〝過去を畳む〟出来事じゃない。
〝続けられる仕組み〟を、次の世代へ渡す出来事なんです」
父である克也氏は、息子の門出をそう表現しました。
フットクリエイトが30年にわたり大切にしてきた理念と、今回の事業承継の背景については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
▶︎導入事例24「足と姿勢から“客の人生を支える”店へ。フットクリエイトが選んだ事業継承と新たな一歩」
6.これからの「ゆがみーる」に期待すること——姿勢以外にも見えやすい指標で成果を見せたい
長年使ってきたからこそ、茨木氏は「ゆがみーる」に期待する進化も具体的です。特に強調されたのは、成果の見せ方。
姿勢は短期間で大きく変わりにくいのが実情。だからこそ、歩行速度・歩幅など、変化が見えやすい指標で「良くなった」を示せることが重要だと語ります。もう一つは、導入の仕方。高額な設備投資は一気にできない現場も多い。だからこそ、まずはイベントやデモの形で試して、価値を実感し、段階的に導入につなげるという提案です。
茨木氏は、そうした“現場に無理のない導入導線”も含めて、今後の活用像を描いています。


現在ジースポートでは、AIでの自動化や比較機能の拡充に加え、歩行評価(TUG等)の機能追加を準備中。姿勢に付随して見せられる指標を追加予定です。また、検討中の方にはデモやトライアルでイベント利用も促進しているので、最新版をお試しいただけます。
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7.健康運動指導士として、今後も「現場で使える形」に落とし込む

「測って終わりじゃ意味がない。
行動に落ちて、続いてこそ価値がある。」
茨木氏が「ゆがみーる」を使い続けてきた理由は、派手さではありません。現場で「説明できる」→「行動に落とせる」→「継続に繋がる」。その実用性です。
そして、普及のために語るのは製品の機能そのものよりも、いつも“人”にとっての価値です。
- その人が、自分の身体を理解できるか
- 一歩を踏み出す体感を得られるか
- 続けるための道筋を持てるか
「ゆがみーる」は、そのための道具。だからこそ、茨木氏はこれからも、健康運動指導士として全国の現場で、“測定を成果に変える”運用を磨き続けていきます。
8. 茨木克也様 プロフィール
健康運動指導士
自立支援介護パワーリハ研究会上級指導員
姿勢教育アドバイザー
フィットネスクラブでのジム・プール・スタジオ指導をはじめ介護予防教室運動指導や健診センターでの運動指導を行っている。
<フットクリエイト 健康倶楽部>
完全予約制パーソナルトレーニング
公式サイト:https://genkide100sai.net/
ジースポートでは、AIでの自動化や比較機能の拡充に加え、活用者様・導入施設様に合わせたソリューション事業やサポートも行っています。ぜひ現在の課題を聞かせてください。
「測って終わらせない」活用設計から、現場に根づく運用、将来を見据えた拡張まで。
ジースポートは、導入後も一緒に考え、事業を育てていくパートナーでありたいと考えています。
まずはお気軽にご相談ください。