
目次
はじめに
桐蔭学園高等学校の野球部選手・細井さんから、動作解析に関する問い合わせをいただき、株式会社ジースポート代表取締役・黒田とのオンライン対談が実現しました。
細井さんは「高校野球の指導法」を探求テーマとして取り組んでおり、特に動作解析を活用した科学的指導に強い関心を持たれています。今回の対談では、「高校野球における科学的指導の可能性」をテーマに探究活動を進める現役高校生から見た視点と、指導現場への導入に必要な課題や工夫について、具体的かつ実践的な意見が交わされました。
1.動作解析との出会い|高校球児が企業に問い合わせた理由

細井さんは、大学受験に向けた探究学習のテーマとして「高校野球における科学的指導の導入」を選択。プロ野球やMLBで取り入れられている動作解析に関心を持ち、自ら動作解析技術を開発・提供する企業を調査。
検索に活用したのはなんとChatGPT。動作解析に関する企業を尋ねたところ、ジースポートが上位に表示されたことから、問い合わせに至りました。
2.「科学的指導」の現状に対する問題意識
問合せでは、現在の高校野球についての以下の問題意識や疑問が示されていました。
現状への問題意識
- プロレベルでは科学的指導が一般化しているにも関わらず、高校野球では依然として根性論や精神主義的指導が残存
- 「走った分だけ強くなる」「投げ込めばフォームが固まる」といった経験則の美談化
- 非科学的な指導による選手の故障やパフォーマンス低下の常態化
技術への具体的な疑問
- 個別最適化の可能性 - 平均値との比較ではなく、個々の選手の骨格、関節可動域、筋力バランスに応じた理想的な動作の逆算提案は可能か
- 教育現場での活用事例 - 高校野球などで個別性を活かした指導サポートの実績
- 技術的展望 - 動作解析を教育・育成に活用する際の課題と今後の発展性
これらの鋭い視点は、高校野球選手ならではの問題提起であり、ジースポートも共感し、解決を目指している課題と合致するものでした。
3.選手自身の経験が語る、動作解析の可能性
細井さんは野球部の投手として、チームで導入されたハイスピードカメラを使用した経験がありましたが、「詳しいフォームの分析や数値化が難しく、あまり活用されなかった」という現実的な問題に直面していました。
また、動作解析のスマートフォンアプリ「ForseSense」なども試したものの、現状のデータは出せるが専門知識がないため指導や改善に落とし込むことができなかったそうです。
一方、試行錯誤の末に3年の部活生活の中で自身の投球フォームをオーバースローからスリークォーターへと変えたことで、肘の痛みが減少し、球速とコントロールが向上。
この実体験から「選手個々に合ったフォームの提案」ができれば、ケガの防止やパフォーマンス向上につながるのではと強く感じたそうです。
4.個別最適化の実現
細井さんが最も興味を示したのは「個別最適なフォームの提案」でした。
細井さん自身の経験として、投球フォームを変更することで、球速向上とコントロール改善、さらに肘の痛み軽減を実現できたが3年かかった。3年かけても最適なフォームに辿り着けない選手もいる。これを個別最適化として、現代の動作解析の技術で実現できるのだろうかという疑問を持たれていました。
ジースポートの技術では、研究段階ではあるが、最適化の目的(怪我の予防、パフォーマンス向上等細かく分けると複数の項目が上がる)を明確にすることで、個人の筋骨格に合わせたモデルを構築し、最適な動作を分析することが可能です。他方、その結果をどのように適用して現場の指導への組み込むかについては、継続して研究の必要があります。
5.科学的アプローチは“自己理解”の道具になる
細井さんが動作解析に最も期待するのは、「自己分析の補助」としての活用です。
- 自分のパフォーマンスを数値で客観的に把握できる
- 過去の良いフォームと比較してコンディションの波を調整
- 感覚的指導に数値が伴うことで、納得感が得られる
こうした視点に対し、黒田も「感覚を言語化・数値化することで選手自身が理解を深めることができる。それが動作解析の価値」と語ります。
6.実績と現場課題|高校野球への導入はどこまで進んでいる?
ジースポートが提供する「ダートフィッシュ」は、甲子園出場校でも導入実績があります。
『ダートフィッシュ/DARTFISH Apps』とは

メーカー : ダートフィッシュ・ジャパン
測定方法 : 世界特許による自動映像認識、解析動画生成
価格 : お問い合わせください
動作環境 : iPhone / Android / WindowsPC
特徴 : 世界で最も有名な動作分析ソフトウェアの1つです。世界特許による簡易性を重視した自動映像分析により、分析結果をクラウド上に保存して共有できます。スマホから高性能カメラまで1台~4台同時撮影に対応しており、歩行や様々な運動の分析に対応しています。世界の大学、医療機関、プロスポーツなど、様々な施設で利用されたノウハウや使い方などバックアップ体制も充実しています。
出典 : https://www.gsport.co.jp/products-2/dartfish/
世界各国で特許を取得した高度な映像処理技術と、誰もが直感的に操作できるインターフェイスを採用した映像分析ソフトウェアです。
欧米諸国のナショナルチーム、トップアスリート、大手フィットネスジム等金メダリストからジュニア育成まで幅広く活用されています。
実際に動作解析を活用した学校が甲子園へ進出し結果を出している一方で、全国の高校への導入が進まない背景には以下の課題があります。
- 導入コストへの懸念(※近年は価格も下がりつつある)
- 「専門知識が必要では?」という導入前の心理的ハードル
- 指導者の経験値による“不要論”とのギャップ
ただし、導入時に専門知識は不要であり、「目的さえ明確なら、後から学ぶ」という段階的な運用が可能です。
7.指導現場が求めるのは“共存型”のツール
ジースポートが目指すのは、従来の経験と勘に基づく指導と、動作解析の“科学的裏付け”が共存する環境です。優秀な指導者の引き出しを広げ、選手の自己理解を深めるサポートツールとして、動作解析技術は今後さらに活用の場が広がっていくと考えています。
8.最後に:選手の問いから始まる、次の一歩
今回の対談は、選手の純粋な「知りたい・変えたい」という想いからスタートしました。
「もっと自分を知りたい」
「科学的に納得できる練習がしたい」
「自分にとって最適なフォームとは何か知りたい」
そんな思いに応えられる技術と仕組みを、ジースポートは引き続き開発・提供していきます。
📩 動作解析の導入を検討している指導者の方へ
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※本記事の内容は、選手の許可を得て掲載しています。
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