
導入事例 #24
| 施設名 | 有限会社フットクリエイト |
| 業種 | 靴・オーダーメイドインソールの製造販売、フットケア、姿勢改善指導 |
| 担当 | 櫻井一男様 茨木遼様 |
創業ストーリー
事業継承のあゆみ
目次
- 1.はじめに|京都「フットクリエイト」が選んだ事業承継と、“姿勢”がつないだご縁
- 2.妻の足の痛みから始まった「足の専門店」
- 3.赤字スレスレ。それでも、やめなかった理由
- 4.学び続けた30年──夫はドイツへ、妻は研究室へ
- 5.30年を前にした迷い。「たたむべきか、託すべきか」
- 6.お客様のニーズを追求して生まれた2階の姿勢改善プログラム
- 7.新社長・茨木遼氏が抱いていた「治しきれない」現場への違和感
- 8.専門職の家族が、一つの店に集う。事業継承という決断
- 9.「1階と2階が一つの店になる」新体制のフットクリエイト
- 10.「ゆがみーる」がつないだご縁と、これからへの期待
- 8. 施設・企業プロフィール|有限会社フットクリエイト
1.はじめに|京都「フットクリエイト」が選んだ事業承継と、“姿勢”がつないだご縁

京都市内の路面に構える「フットクリエイト」。
靴の販売、オーダーインソール、フットケア、そして姿勢改善と運動指導。一見すると専門性の高い個人店ですが、ここには30年にわたり通い続ける延べ14000人を超える顧客との絆がありました。
2025年11月、店は一つの節目を迎えます。1996年の創業以来、店を守ってきた創業者夫婦から、新たな代表へ。
事業承継──それは単なる“代替わり”ではありませんでした。
「この店を閉めることは、
長年通ってくれたお客様の“人生の途中”を断ち切ることになる…」
その思いが、すべての始まりでした。
2.妻の足の痛みから始まった「足の専門店」

フットクリエイトの原点は、創業者・櫻井寿美氏の「外反母趾による強い足の痛み」でした。
営業職として働く寿美氏にとって、パンプスは仕事道具。だが、痛みは日に日に強くなります。整形外科を受診しても、返ってくるのは湿布と痛み止め。
「なぜ痛むのか」「どう生活を変えればいいのか」その答えは、どこにもありませんでした。
「病院に行っても、靴を変えるという発想そのものがない。
『このままで我慢するしかないのか』という無力感があった」
そんな中、夫である櫻井一男氏が手に取った一冊の本、『歩くこと、足そして靴』(清水昌一著)。病院に行っても答えが出なかった悩みに寄り添うようにそこに書かれていたのは、
「ドイツには、靴とインソールで足のトラブルに向き合う仕組みがある」。という事実でした。

一男氏はすぐさま著者に直接連絡を取り、セミナーに参加すると、そこでは足の痛みで困っている人たちが大勢いることがわかりました。特に女性に多く、日本ではほとんど対処されていないという現実を目の当たりにします。
「足で困っている人がこんなにいるのに、
日本にはその受け皿がほとんどない。
だったら、自分たちがやるしかない」
こうして、靴づくりも経営もゼロからの状態で、ご夫婦でフットクリエイトを立ち上げる決意をしました。
3.赤字スレスレ。それでも、やめなかった理由
最初の店舗は、ビルの4階。看板も目立たず、まるで事務所のような佇まいだったといいます。集客は口コミと紹介だけ。売上は不安定で、貯金が底をつきかけたこともあります。
「続けるか、やめるか、何度も、真剣に話し合いました」
転機となったのは、「路面店への移転」。人通りの多い場所に出ることで、「歩き方がおかしい」「足が痛い」と感じていた人たちが自然と店を見つけ、相談に来てくれるようになりました。
「路面に出ることで、
『こんなお店を探していた』という声をたくさんいただきました。
そこからだんだん黒字化が見えてきたんです」
こうしてフットクリエイトは、足の痛みで困っている人たちが“最後にたどり着く店”として、少しずつ信頼を積み重ねていきました。
4.学び続けた30年──夫はドイツへ、妻は研究室へ


一男氏は、足の痛みに悩む妻・寿美氏を救いたい一心で「ドイツ整形外科靴」の理論に導かれ、創業後も学びを止めることなく、カール・ハインツ・ショット氏、ディトマール・バルター氏のもとへ通い技術を磨き続けました。
経験も知識もゼロの状態から、講演・技術習得・顧客対応を同時にこなし、京都に日本初のCAD/CAMインソール製作を導入するまでに発展。
一方、寿美氏は2007年に神戸大へ、2011年に京都府立医科大学大学院へ進み、足と身体、健康について研究を深めました。多くの論文や著書を出し、足と靴の実践研究者として講演活動も行っています。
「経営しながら、学び続ける」お二人のその姿勢は30年間、変わることはありませんでした。
5.30年を前にした迷い。「たたむべきか、託すべきか」
30年近く走り続けるなかで、櫻井氏にはある葛藤が芽生えます。
「自身も前期高齢者となり、いつかは現場を離れる。
しかし、長年通ってくれているお客様を
『はい、今日で終わりです』とは言えない。
靴とインソールの専門性が高い
後継者を見つけるのは容易ではない」
義肢装具士や専門学校の卒業生など、専門性を持つ人材に声をかけたこともありましたが、条件やタイミングが合わず、実現には至りませんでした。
「この店をどう残すべきか、数年前からずっと悩んでいました。
でも、長年頼ってくださっているお客様の顔を思い浮かべると、
簡単に『店を閉めます』とは決断できなかったんです。」
そんな中で、フットクリエイトの2階で「姿勢改善プログラム」を担当していた、ある親子の存在が、大きな意味を持つようになります。
6.お客様のニーズを追求して生まれた2階の姿勢改善プログラム


フットクリエイトがAI姿勢分析「ゆがみーる」を導入したのは、2015年。足だけでなく、全身の姿勢から問題を捉え直すツールとして取り入れました。
さらに足と姿勢から「歩いて健康、元気で100歳」を目指すために店舗の2階で運動指導を取り入れることになりました。運動指導をするのは、長年「ゆがみーる」を活用している健康運動指導士の茨木克也氏です。これまで8年以上、姿勢改善のための体操教室・パーソナルトレーニングを継続してきました。

- 1階:靴・インソール・フットケア
- 2階:姿勢改善・運動指導(ゆがみーる活用)
しかし、当時はこの1階と2階という構造もあり、お客様からは分かりにくいという懸念がありました。
「お客様から見ると、『2階で何をしているのかよくわからない』状態。
興味はあっても、内容が見えないから一歩踏み出せない。
情報もポスターや雑誌の記事程度しかなく、説明しきれていなかったんです」
靴は数年に一度しか買い替えない人も多く、来店頻度を増やす“第二の軸”として、姿勢・運動のサービスは重要な意味を持っていました。
その一方で、「1階と2階の心理的な距離」は、フットクリエイトにとって長年の課題でもありました。
健康運動指導士の茨木克也氏がゆがみーるで実践してきた全国での活動はこちらの記事で詳しく紹介しています。
▶︎導入事例25「姿勢分析を「測って終わり」ではなく、行動変化に繋げる——健康運動指導士・茨木克也氏が“ゆがみーる”と歩んだ20年」
7.新社長・茨木遼氏が抱いていた「治しきれない」現場への違和感

2025年11月、その流れに一つの転機が訪れます。2階の姿勢改善プログラムを担ってきた茨木克也氏の息子、茨木遼氏が、フットクリエイトの新社長として事業を継承することになったのです。
遼氏は、柔道整復師として整骨院やデイサービスで働いた経験を持ちます。その中で、現場の「当たり前」に強い違和感を抱きました。
「完治させてしまうと、患者さんが来なくなる」ビジネスモデルへの疑問
接骨院でアルバイトをしていた頃、遼氏は、リピート通院に依存する運営の実態を目の当たりにします。
「本来は痛みを根本から治したいのに、
完治すると来なくなってしまうから、
“治しきらない方がいい”という空気がどこかにある。
それが、自分の中でどうしても受け入れられませんでした」
1人5分の個別指導に感じた“申し訳なさ”
デイサービスでは、1人あたりの運動指導の時間がわずか5分。これを何人も続けます。悩みを聞き、評価し、運動を指導するには、あまりにも短い時間でした。
「『もう少し詳しく教えてほしい』『ここはどうなっているの?』
と聞かれても、時間の都合で十分にお答えできない。
何度も謝るうちに、『もっと一人ひとりに向き合える形でやりたい』
と思うようになりました」
こうした経験から、遼氏の中には、
「痛みの根本に向き合い、時間をかけて伴走したい」という思いが強く育っていきました。
8.専門職の家族が、一つの店に集う。事業継承という決断


遼氏にとって、父・克也氏が関わるフットクリエイトは、 “自分のやりたいこと”と“家族の専門性”が重なる場所でもありました。
- 遼氏:柔道整復師
- 父・克也氏:健康運動指導士
- 母:介護予防トレーナー
それぞれが異なる強みを持ちながら、同じ「からだ」と「生活」を支える専門職です。
「父がゆがみーるを使って姿勢改善に取り組んでいる現場を見て、
足も姿勢も含めて、お客様の『なりたい状態』
に寄り添える場所だと感じました」
櫻井氏にとっても、長年一緒に2階のプログラムを支えてきた茨木氏親子は、単なる外部パートナーではなく、価値観を共有できる頼もしい存在でした。
実は数年前から、寿美氏が「遼さんが継いでくれたらいいのに」と冗談のように言っていたことが、お互いのタイミングと仕事への想いが通じ合い、現実になったのでした。
「足元から全身を見てくれる人たちなら、
この店の“核”を守ってくれると感じました」
2025年12月末をもって、櫻井氏は完全に現場を離れ、以降は茨木遼氏とご家族で、新たなフットクリエイトがスタートすることになりました。
9.「1階と2階が一つの店になる」新体制のフットクリエイト
これまで、1階と2階の連携には“見えない壁”のようなものがありました。新体制では、経営者自身が1階・2階両方の価値を理解しているため、お客様をより自然な流れでご案内できるようになります。
- 靴・インソールの調整 → 姿勢測定(ゆがみーる) → 個別トレーニング
- トレーニング継続 → 足の状態の変化 → 靴・インソールの見直し
この循環が一つのストーリーとして伝わることで、「数年に一度、靴を買いに来る店」から、「定期的にからだを整えに来る場所」へと役割も変わっていきます。2026年1月からは、これまで以上に体操・運動サービスの頻度を増やし、お客様の満足度と事業の両立を図る計画も進んでいます。
10.「ゆがみーる」がつないだご縁と、これからへの期待
フットクリエイトと「ゆがみーる」の関係は、単なるツール導入にとどまりません。
- 2015年に導入し、足だけでなく姿勢全体を見るための“ものさし”として活用
- 2階での姿勢改善プログラムの中で、茨木克也氏が10年以上にわたり運用
- その現場で経験を積んだ遼氏が、今回の事業承継で新社長に就任

静かではありますが、「姿勢」を通じて人と人がつながり、一つの店のバトンが自然な形で受け継がれていった――そこには「ゆがみーる」が、ささやかな橋渡し役として存在していました。
一方で、フットクリエイトからは、今後のバージョンアップへの期待の声もいただいています。
- 足底からの評価(特に高齢者の前傾姿勢の評価)ができる機能
- 「どの筋肉が使えていないのか」がより直感的にわかるレポート
- 自宅でも続けやすい、具体的でバリエーションのある体操提案
「結果がわかるだけでなく、『次に何をすればいいか』まで
もっと分かりやすく伝えられるようになると、お客様が取り組みやすいはずです」
足元から、姿勢から、暮らし方から変えていく。「歩いて健康、元気で100歳」を目指す――その思いを受け継いで、新たな挑戦をするお手伝いを、今後私たちジースポートがサポートさせていただきます。
ジースポートでは、AIでの自動化や比較機能の拡充に加え、導入施設に合わせたソリューション事業やサポートも行っています。ぜひ現在の課題を聞かせてください。
「測って終わらせない」活用設計から、現場に根づく運用、将来を見据えた拡張まで。
ジースポートは、導入後も一緒に考え、事業を育てていくパートナーでありたいと考えています。
まずはお気軽にご相談ください。
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8. 施設・企業プロフィール|有限会社フットクリエイト
事業:靴販売、カスタムメイドインソールの製造販売、フットケア、姿勢改善プログラム、講師派遣、 フットケア各種スクール
住所:京都市下京区間之町通上珠数屋町下ル打越町318
ゆがみーる導入:2015年
公式サイト:https://www.footcreate.com/index.php