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ゆがみーる開発秘話01 : ゆがみーるLite誕生前夜!

 


株式会社 ジースポート 黒田 篤 社長
・所在地:東京都文京区湯島1丁目3-11 お茶の水プラザビル5F
・設立:2000年7月  ・資本金:3,754万円


姿勢分析ソフトゆがみーるLiteを開発した株式会社ジースポート(東京都千代田区) の黒田篤 社長から、開発時の苦労や今日に至るまでの道のりをお伺いしました。1回目の今回は、ゆがみーるがマイクロソフトから表彰されるまでに歩んだジースポート苦心の足跡をレポートします。

 

東大発のベンチャー企業! 大きな夢を抱いて、起業してみたものの…

ーそもそもの話で恐縮なのですが、社名の”ジースポート”。由来は何でしょうか?
ジースポートは「Graphic and Sports」から名付けた造語でして、視覚表現とスポーツを結びつけよう!というところからスタートしているんですよ。子供向けにスポーツ上達のビデオを発行してますので、「あー、投球フォームの解析とか目指していたんですね」と納得される方も多いのですが、じつはちょっと違うんですよね。

創業時は「遠隔医療システム」と「アニメーター・モーションキャプチャ」が事業の2本柱で、地域医療の課題を遠隔医療とモーションキャプチャで解決したいと思ったのです。ジースポートを始めたのが2000年ですから、今から15年前の話になりますね。

ー「遠隔医療システム」とは、ずいぶん大きな話ですね…
骨ARMO
大学在学中にアニメーター・モーションキャプチャという”3Dで筋肉・骨格を表現する”研究をしていました。ビデオで捉えた被検体を、3Dでリアルタイムに筋骨格のアニメーションに置き換えるというものです。

「遠隔医療システム」とは、こうしたモーションキャプチャの技術とインターネットインフラを組み合わせたシステムになります。

具体的には、筋骨格3Dモーションキャプチャ情報を、地方のパソコンからWEBデータベースサーバに収めて、その情報を東京のパソコンで見て…という当時としてはかなり大掛かりなインフラを構築していました。googleのGmailなどの様なWEB-ASPサービスを想像すると、イメージがつきやすいかもしれませんね。
筋骨格の詳細な情報をインターネットを通じて瞬時に送り届ける仕組みがあれば、場所に縛られなくなくなりますから、地域間の格差を解消できると思ったのです。

たとえば、地方の大会でケガをしたトップアスリートがいたとしましょうか。こういったシステムがあれば、わざわざ中央の病院へ行かなくても、地方の医療現場で中央の優秀な医師から診断を受けることができる。遠く離れた場所でも、実際にその場で見たのと同じように精密な筋肉と骨格の情報を見ることができますからね。現状では、どうしても地方の医療現場では適切な環境が整っていなかったり人材が不足しがち…なので、ケガをしたトップアスリートは東京に来ざるを得ない。負担がより増えてしまうのです。

こういった問題を、弊社の技術力で解決したいと思ったのですね。

クローズドな医療現場から、ヒット製品を作り出す悩み。

ー15年前といえば、インターネット普及前夜ですよね。
ARMO製品
そうです。
現在ではハードウェアの価格はかなり下がりましたし、通信コストも格段に下がりましたけれどね。当時は、ネットワーク・サーバ・データベース環境を用意するのに莫大な投資が必要でした…

ですから、販売価格もだいたい1億から2億円の間になってしまって…ですね。いやー、まったく売れなかったな。
起きていることは今でも医療現場の課題ですからね、着眼点は良かったと思うのですが、早い…というか早すぎましたね、ハハハ。

設備投資にとてつもない費用がかかる大規模なシステムから、動作解析のところを抜き出したのが、動作解析ソフトウェアのARMOです。価格を1/10くらいに設定したお陰もありまして、一定の普及をしました。
ただし、爆発的には…普及しなかったですね。なにしろこういった専門的な分析を常に必要とされている方は、日本では ほんの一握りですからね。世界でもあまりいない。ニッチなマーケットだったのです。

ー創業当初はかなりご苦労があったのですね。
いやー、ずっと苦労の連続です。(笑)

医療現場というのは、とてもクローズドな業界ですから、市場の声を汲み取って製品化するのが難しい。どうしても「こういった製品を作りました!」と世に問うやり方になってしまう。
専門的な言い方になってしまいますが、マーケットインじゃないんですよね、プロダクトアウト型で製品を生み出すしかないんです。ですから、マイナーチェンジではなくて新しい製品を生み出そうとすると、当たりもあれば大きくハズレてしまうことも…と難しいのです。

たとえば弊社のヒットした製品で、子供向け運動支援DVDシリーズがありますけれど、これなんかが典型じゃないでしょうか。
2004年にリリースしたのですが、当時はベンチャーキャピタルなんかに散々「少子化の時代なんだから、ターゲットが少ない!」「これからは高齢化なんだから、老人向けのビデオを作れ!」と反対されましてね。反対を押し切ってリリースしちゃったんですけど…
それでも蓋を開けてみたら結果は大当たりですからね。世の中分からないものですよね。

ゆがみーるLiteの前身「ゆがみーる」をリリースしたのが2008年ですけれども、当時は”姿勢バランス”や”筋肉バランス”を測定するものがなかったですし、そもそも「姿勢」に注目しましょう!というキーワード自体が世の中になかったですよね。

ー今では女性誌などで「姿勢」「骨盤」の文字を見ない日はないですけど、当時はまったく?
はい。まったくなかったと思いますよ。だから我々はビッグウェーブに乗り切れないといいますか、…ちょっと早いんですよね、タイミングが。(笑)
ただ、こういった「姿勢を手軽に評価する」という着目点をMicrosoftさんからご評価いただけたことは自信になりましたね。ゆがみーるは、Microsoft Innovation Awardという独創的なアイデアを持つソフトウェアを評価するコンペティションで最優秀賞を頂いたのですが、姿勢を、一般の人に分かりやすい形で、誰でも手軽に、客観的に評価する、という着目点は間違っていなかったのだと思います。
 

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